“3つの覚悟”で
無謀な賭けに勝つ

 2008年度と2009年度は、リーマンショックの影響もあって、配当だけでは返済できず、事業会社である日本レーザーから親会社のJLCホールディングスに貸し付けして返済。

 その後は利益を伸ばし、予定どおり「1億5000万円を5年で返済」することができました。

 では、どうして私たちは、
 無謀とも思えた「賭け」に勝てたのか?

 返済の原動力になったのは、
 次の“3つの覚悟”です。

●社長の覚悟
●社員の覚悟
●本業で利益を出す覚悟

●社長の覚悟
 社長の覚悟には、「絶対に独立を果たす」という覚悟と、「絶対にリスケはしない」という覚悟の「2つ」があります。

・独立の覚悟
 サラリーマンであった私の場合、「定年まで社長をやり、その後顧問になって、年金をもらい始め、悠々自適に暮らす」こともできました。

 しかし、子会社のままでは、人事や財務面での制約も多く、迅速な経営判断ができない。さらには有能な社員が独立していくリスクも大きい。

 日本レーザーが将来にわたって成長していくには、「親会社の意向に従う」「親会社からきた雇われ社長を受け入れる」のではなく、自主的な経営に移行するしかありません。

「会社を守るために、何があっても独立を成功させる」という覚悟があったからこそ、「賭け」に挑むことができたのです。

 言い換えれば、サラリーマン経営者から「創業経営者」になるという覚悟でした。
 独立に失敗したら、社員を路頭に迷わせることになる。
 そのリスクを承知のうえで敢行する勇気が不可欠でした。
 同時に社員自身も、困ったときには誰も助けてくれないという資本政策を受け入れる勇気が必要でした。
 1993年に経営破綻したときには、何だかんだいっても、当時の親会社から近藤がきて助けてくれたのです。

・リスケ(リスケジュール)しない覚悟
 独立した1年後の2008年9月には、リーマンショックに見舞われるなど、独立後は前途多難でした。

 しかし私は、利益の目途が立っていなくても、「リスケ(返済の条件変更)をして、銀行融資の返済を先延ばしする」考えはありませんでした。

 なぜなら、リスケは根本的な解決策ではないからです。
 リスケをしたところで、返済がなくなるわけではない。「リスケすれば、当面はしのげる」と思った時点で、経営が甘くなる。
「販路を広げる」「新規顧客を獲得する」「コストカットをする」といった自分の命を縮めるような自助努力に励んだ結果、一度もリスケをすることなく、借入金を返済できたのです。

ps.「25の修羅場」の詳細は、第1回連載「倒産寸前から売上3倍、自己資本比率10倍、純資産28倍!「25の修羅場」が「25年連続黒字」をつくった理由」をご覧ください。きっと、私が血反吐を吐きながら、泥水を飲みながらのここまでのプロセスの一端を垣間見れるかと思います。