日本の介護施設を見学に
訪れる中国視察団が急増
ここ2~3年、日本の老人ホームや介護施設などを見学したいと希望する中国視察団が急速に増えている。中国でも高齢化が急速に進み、高齢者産業の市場が信じられないほどのスピードで拡大しているからだ。
さらに、経済が悪化していることも追い打ちをかけている。多くの企業が日本企業を参考にして介護ビジネスに突破口を見出そうとしているのだ。過酷な競争にさらされている他の分野に比べれば、ブルーオーシャンに見えていることもあるだろう。2013年には中国の国務院が「高齢者サービス業の発展の加速に関する若干の意見」を発表、政策的にも高齢者産業への誘導が図られている。
そのため、資本力のある大手が雪崩を打つように介護や医療、リハビリ、レジャーなどが一体化した健康養老施設の建設に走り、中国では“養老事業ブーム”が巻き起こっている。こうした流れを「チャンス到来」と受け止め、ブームを煽る新華僑系企業も少なくない。
しかし冷静に見れば、中国の高齢者産業はまだビジネスモデルの模索中で、満足のいくものではない。実際、参入している多くの企業が不動産事業の1つとして取り組んでおり、きめ細かいサービスが求められる高齢者産業のニーズからは大きく遊離している。