トップダウンだけでは組織は回らなくなってきています。
上司がトップダウン一辺倒のやり方をしてしまうと、いざボトムアップが必要な局面でも、部下は発言できないなど、受け身の姿勢を崩せない。変化には時間と忍耐が必要である Photo:PIXTA

働き方改革関連法案が施行された今ほど、多様なメンバーを巻き込むボトムアップのリーダーシップが必要とされている時はない。しかし、トップダウンの呪縛から逃れられないリーダーやメンバーがいる。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

多くのリーダーが切望する
ボトムアップ型スキル

 4月から働き方改革推進関連法案が施行され、時間外労働の上限規制、年次有給休暇取得義務、フレックスタイム制の緩和、高度プロフェッショナル制度の導入などがスタートした。リーダーは限られた時間の中で、メンバーの多様な働き方を認めながら、しかし成果を上げることが課されることになり、リーダーシップの難易度が一気に上がる事態に直面している。

 少なくとも、指示・命令するだけのトップダウンだけでは、リーダーシップを発揮できなくなっていることに、多くのリーダーたちは気づいている。メンバーのモチベーションを高め、限られた時間内でもパフォーマンスを発揮しやすくさせ、多様なメンバーを巻き込んでいく、ボトムアップのリーダーシップが不可欠だ。

 トップダウンのリーダーシップを発揮できている人は多いが、ボトムアップの巻き込み型のリーダーシップを実践できている人は実に少ない。私が行っているリーダーシップ実践力向上プログラムの参加者が、ボトムアップのリーダーシップを身に付けようとするニーズは切実だ。このプログラムを実施して20年になるが、ボトムアップのリーダーシップ力向上のニーズが最も高まっていると言える。

 なにも、トップダウンを全否定しているわけではない。法律を守らせる、コンプライアンスを順守する、システムのエラーを解消する、品質の瑕疵をなくす…トップダウンが必要な場面はさまざまある。しかし、トップダウンの効き目がない場合や、必ずしもトップダウンでなくてもよい時にもトップダウンをしてしまうと、リーダーシップは発揮されなくなる。トップダウンに加えて、ボトムアップのリーダーシップも身に付けていれば、より強力なリーダーシップが発揮されることは言うまでもない。

 しかし、トップダウンに固執してしまうリーダーは意外に多い。そして、トップダウンの呪縛にかかってしまっているメンバーも少なからずいるのだ。