――その後、瀬戸氏とは会っているのですか。

 何回か会っていますし、メールのやりとりもしています。結局、瀬戸氏(の言い分)は会見でも発言していた、「あんまりじゃないですか」という言葉に尽きます。

 こちらとしては、「そんなに傷ついたんだ。ごめんなさいね。もっとおもんぱかってやればよかった」という気持ち。瀬戸氏が「傷ついた」と言っているので、「同情します」と何回か申し上げました。

 メールのやり取りでは、「あなたの『あんまりじゃないか』という気持ちは分かる。ただ、あなたは取締役で、記事で社員が悲しい思いをする。株が売られ、株主の価値は減る。取締役として責任を感じないの。いい加減やめませんか。藤森義明氏は潔く身を引いて、皆の前であなたを盛り立てたじゃないですか。大人の対応をできないの」と伝えましたよ。

 ただ本来、会社を愛するならば、騒ぎで評判を落とすことはしないでしょう。

――しかし、瀬戸氏の主張には、取締役の川本隆一氏と伊奈啓一郎氏も賛同しています。

 両氏が瀬戸氏の退任に反対票を投じたのは、彼らの情報が限定的だからです。川本氏は火、水、木曜しか東京に来ず、社内会議に出ていません。週の半分は(INAX創業地の愛知県)常滑市にいます。そして、伊奈氏は取締役会にしか出ず、ずっと常滑にいます。

 この3年、常滑に変化はなく、課題の認識がわれわれとまるで違う。社外取締役の方が認識を共有しており、容易ならざる経営環境に賛同いただいた。

――シンガポール在住で、月に1度しか日本に来ないという潮田氏の経営スタイルを、瀬戸氏は会見で批判しています。

 私がシンガポールにいることは、過去の取締役会で承認を得ています。わが社は問題もチャンスも、9割が海外。藤森氏がトップの時代に、会長と社長の両方が東京にいることが議論になりました。中国やインド、ASEAN地域は将来のリクシルの生きる道になるので、私がシンガポールにいることは当時の取締役会でも大賛成だったのです。

 昨年11月以降、私はほぼ日本にいます。出張などで欧州や香港には行きましたが、東京のオフィスが私の拠点です。

ジョウユウの不正会計の損失は「高い授業料」

――その海外で、買収した独グローエの子会社ジョウユウの不正会計などで損失を出していますが。

 確かに損失を被ったかもしれませんが、グローエの買収は成功で、主力事業の一つになっています。ジョウユウはその向こう傷を負った形です。ジョウユウのガバナンス問題の指摘は後になってから言えること。帳簿を3つも用意して隠そうとした不正を、通り一遍の監査でできるかは疑問です。高い授業料ですが、中国企業との付き合い方を学びました。

 ペルマ社とグローエの買収で、たった3%だった海外の売上高比率が30%へと高まったのです。

 シンガポールで海外企業の経営者に実情を聞くことは、日本の取締役会では話されない内容ですので、適切な手法です。