カモになりやすい人は注意
海外でありがちなお金のトラブル
日本の外に出ると、日本がいかに治安のよい国であるかを思い知らされる。海外旅行では金銭にまつわるトラブルに関して注意を怠ってはならない、と誰もが自覚していざ旅行に臨み、そして結局金銭のトラブルに巻き込まれる。
Bさん(51歳男性)は出張でよく海外にいく。その時ほぼ必ず同行するのが同じ会社のCさん(44歳男性)である。Bさんは目端が利いて押しも強いのでトラブルにも強い。一方Cさんは年下ながらBさんの上司であり、仕事はできるがどこかのんびりしたところがあって、他人に優しく懐が深い。BさんとCさんはお互いを信頼していた。
数年前、BさんとCさんがイタリアに出張に行った時のこと。ついでにちょっと観光しようと、コロッセオに足を延ばした。すると移民系らしき出で立ちの現地人がニコニコ笑いながら近づいてきた。さかんに日本語でまくし立てており「オオサカ!スンデタ!」などと言っている。Bさんは警戒を強めつつ、好奇心から彼の出方を見守ることにした。
「テ、ミセテ」と言うのでBさんが見せると、「オオキイネー!」と言い相手が手のひらを合わせてきた。それから流れるように、Bさんの手にミサンガのようなカラフルなひもを巻き付け始めた。
“これはひもを無理やり買わせるパターンだ”とすぐに気づいたBさんは急いで手を振り払おうとしたが、いつの間にか5人の男たちに周りを取り囲まれ、腕を押さえつけられていた。Bさんは激高して抵抗したがさらに力を強められた。“やられた”とBさんは思った。
「観光客をターゲットにした、押し売りの変型バージョンというか。手慣れている様子だったからおそらく常習犯だろう。人数が多かったが、警察などが来ないように見張りも立てていたのだろう」(Bさん)
Bさんは抵抗しながらふとCさんの方に目をやると、Cさんは背中を丸め、財布から札を抜き出して早々に支払おうとしていたそうである。