金融庁vs生保、代理店への報酬適正化で「抜け駆け」が横行する理由代理店手数料という「伏魔殿」に金融庁は果たしてどこまで切り込んでいけるか Photo by Masaki Nakamura

生命保険会社が乗り合い代理店に支払う報酬を巡って、金融庁が追加の実態調査に乗り出している。適正化への圧力を一段と強めるのが狙いだが、そうした圧力をかわすかのように、外資をはじめ一部の生保による抜け駆け行為はいまだ収まる気配がない。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)

 金融庁が4月から、生命保険会社を対象に代理店手数料体系と、インセンティブ報酬の追加実態調査に乗り出している。

 調査内容は大きく10項目。その柱となるのは、顧客の意向を置き去りにして、代理店に自社商品を最優先で販売させるような取引関係を、「実質的にどこまで見直したのか」ということだ。

 そもそも、一般乗り合い代理店への手数料やインセンティブ報酬について、金融庁が見直しの“大号令”をかけたのは、今から2年も前のこと。本来なら生保各社がとっくに見直し作業を終え、新たな報酬体系に移行していてもいいはずだが、いまだに見直しすらまともに進んでいないのが実情だ。

 金融庁は昨年10月にも、生保21社に対し同種の調査を実施している。業界の健全な発展に向けて前向きな取り組みを期待していたものの、見えてきたのは「合理的な整理をせず、電話ブースの設置費用などを保険会社が引き続き負担している」「販売促進費などの負担を廃止する一方で、手数料の上乗せ措置によって、減収分の3倍以上の手数料を代理店が得ていた」といった何ともお寒い内実だった。