プラトン 著
(岩波書房/2008年)
(オリジナル版の出版は1952年)
プラトンの師匠であるソクラテスが、多くの人々と酒と料理を前に夜を徹して愛(エロス)について語り合う物語だ。ソクラテスは、ディオティマという婦人の話として、人間は肉体的において、未来永劫に自分を確保しようとして子供をつくる。心霊において、知見やその他あらゆる種類の徳を創り出そうとする。知見のうちで最高のものが国と家の統制に関するもので、その名は自制と公正だと語っている。
そのような知見に対する愛が、哲学(フィロソフィー)なのだ。哲学が、本来、社会や一般人の生活の知恵そのものだということが分かる本である。
最後に、ソクラテスが勇敢な戦士で若者に愛される人だということも紹介されている。哲学嫌いの方にお薦めの傑作だ。
(国家公務員共済組合連合会理事長 松元 崇)