カートを押している客には
広告で箱買いできる商品を薦める

 新宮店には棚にデジタルサイネージ(情報・広告媒体)が設置してあり、広告が表示されるようになっている。広告は顧客に応じて切り替えることができる。

 リテールAIカメラで性別やカートを持っているか否かを識別し、カートを持っていない顧客には例えばビールの単品を電子広告で薦める。カートを押している顧客には勧める商品は同じだが、箱買いを薦めるという具合である。

 このリテールAIカメラの開発に携わった最高技術責任者(CTO)の松下伸行取締役は、ソニーでデジタルカメラやスマートフォンのカメラの開発を手掛けた。

「広告を出したからといって買ってもらえるわけではないが、顧客が商品購買の際に悩んでいる時に薦める」のが効果的と言う。さらに「カメラとデジタルサイネージ、クーポンや店内放送などを立体的に組み合わせ」(同)販売促進を行っていくという。

 AIカメラは販売機会の損失を防ぐことにも役立つ。リテールAIカメラは従来あるような天井から多くのカメラを吊り下げる方式ではなく、棚に値札のように設置、顧客の動きとともに棚にある商品を認識している。

 どの商品が何個あるか、フェース数を認識することができる。さらに顧客は上から商品を取るのか、真ん中から取るのかという行動とともに、棚の状態をリアルタイムで把握する。10分に1回、1時間に1回程度認識し、品切れなどを本部や店舗が把握するのだ。

 従来、カメラは高価で導入コストがかかり、二の足を踏む小売業も少なくなかったが、トライアルグループが開発したカメラはこうしたマルチな機能を搭載し、スマートフォンのために開発された技術を組み合わせることで低価格化して導入しやすくしており、今後、トライアルの店舗だけでなく、他の小売業にも導入を呼びかけていく。