しかし、その後2018年のルノーの株主総会でゴーンCEOが22年まで留任することが決まると、ルノーのゴーンCEOが変節する。向こう4年間のルノートップ続投の条件として、仏政府サイドからルノーと日産の統合をもちかけられたのだ。

「ルノーと日産の関係を不可逆的なものとする」という言葉が頻発されるようになったのだ。

3社連合の協業化は
大きな利点がある

 今回の“ゴーン騒動”の裏には、このルノーと日産の統合問題が見え隠れする。現にポストゴーンとして仏政府からルノー会長に指名されたジャンドミニク・スナール氏からも「今の優先課題ではない。だが、不可逆的なものとしたい」と言及した。それが4月中旬にルノーから日産に経営統合を提案したことの流れにつながる。

 そもそもルノー・日産アライアンスは、ルノーによる日産の救済であり、ルノーのおかげで日産が再生したことは確かだ。しかし、この20年間は立場が逆転した。ルノーの業績は日産から受け取る「持分法投資利益」に大きく影響されてきたのだ。実際、日産の業績次第でルノーの業績は浮沈しており企業規模、次世代技術力等で日産が圧倒的にルノーをしのいでいるのだ。

 仏政府サイドがルノーと日産の統合への意向を強めているのは、マクロン政権の政治力や経済政策に暗雲が立ちこめているという事情があり、かつルノーの業績が18年1~12月期で6年ぶりの減収減益となったこともある。このため、仏の国策としてルノーをかつての“ルノー公団”のように戻して、日産の力を内包させたいとの焦りがあるのだろう。

 このルノーとの経営統合提案に対して、日産サイドは当然のごとく強い拒否反応を示している。現状の資本構成では、統合とは名ばかりで、実質的なルノーによる日産吸収統合ということになるからだ。日産側の本音は「この20年間で助けてもらった借りは十分に返した」ということでもあろう。

 しかし、一方では日産としてもプラットフォームの共用化、部品共同調達など三菱自動車を含めた3社連合の協業化は大きな利点がある。「日産・三菱自・ルノーがイコールパートナーとして、関係の安定化を望んでいる」(西川社長)。

 先に発表・発売された新型軽自動車は三菱自との協業だが、日産が初めて軽自動車の開発を手掛け、生産は三菱自の水島工場が受け持つ。そして新開発のエンジンのベースはルノー製という3社のアライアンスを生かした製品である。