榊原定征・東レ特別顧問は、日産自動車のガバナンス改善特別委員会の共同委員長も務めており、日産取締役会議長への“横滑り”人事には、そもそも疑問符が付いている榊原定征・東レ特別顧問は、日産自動車のガバナンス改善特別委員会の共同委員長も務めており、日産取締役会議長への“横滑り”人事には、そもそも疑問符が付いている Photo:Bloomberg/gettyimages

日産自動車は、株主から厳しい質問を浴びせられながらも、カルロス・ゴーン元会長の追放を果たし、臨時株主総会を無事切り抜けた。しかし、日産のガバナンス刷新の肝であり、同社の将来を左右する取締役人事で、新たな“火種”が発生している。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

「あれって『アリ』なんですかね?」(日産自動車幹部)。

 4月8日、カルロス・ゴーン日産元会長の取締役解任などを目的として臨時株主総会を開催した日産。株主からは、「現経営陣にも社会的、道義的責任がある。総退陣すべきではないのか」「ゴーン氏の手口が巧妙だったにしても、なぜ長く不正に気付かなかったのか」といった厳しい声も飛んだが、ゴーン元会長を追放するという最大の目的は無事達成した。

 かくして、次の焦点は、新たな企業統治(コーポレート・ガバナンス)体制を構築するべく、6月の定時株主総会までに社内外の取締役の選定をいかに穏便、かつ思い通りに進めるかに移った。ところが、この日産の将来を左右する決定を前に、またもや“火種”が燻っている。