不眠に悩む人は多い
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「今日もまた眠れないのか」——。不眠症の切実な恐怖。不眠症の人は「不眠ほどつらいものはない、ただ眠ることさえできれば」と切に願います。神経質な人が、眠らなければと焦れば焦るほどかえって眠れなくなる神経質性不眠。どうすればそれを克服できるか、中村敬先生が実際の症例をもとに、「森田療法流対処法」による眠りの改善策について解説します。(談/東京慈恵会医科大学附属第三病院院長・精神医学講座教授・森田療法センター長 中村 敬、構成/慈恵大学広報推進室 高橋 誠)

神経質で長年寝つきが悪かった
70代男性の悩み

 今回は、大手商社で定年を延長後、数年前にリタイア。それからはゴルフや旅行などを生きがいにしていた70代前半男性の事例をご紹介します。

 元来、神経質で人前では緊張しやすい性格でした。旅行などの前夜は寝つきが悪かったといいます。現役時代は年に数回の海外出張や、国内各地の展示会やイベントでの商談を多く経験しました。ビジネスキャリアを通じて、翌日特別なスケジュールのある前夜は、どうしても寝つきが悪くなっていました。

 数年前からは、近所の内科医より処方された睡眠導入薬を毎夜服用しています。しかし最近は入眠して2~3時間でトイレに起きた後、熟睡できなくなることが続き、「よく眠れないと気力も湧かない、このままだと自分の第2の人生も台無しになってしまう」と悩み、内科医からの紹介で、中村敬先生に相談しました。