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自分はあがり性だからと、リラックスするように努めてプレゼンテーションに臨んでも、いざ本番になると、緊張してしどろもどろになってしまう、そんな悩みを抱えた方が多くいます。緊張しないように努めるのではなく、大いに緊張しながら本来の目的に沿って行動することを勧める「森田療法流対処法」は、ビジネスパーソンにも、プレゼンへの心構えのヒントになるでしょう。社交不安症の患者さんがいかに難局を乗り越えたか、中村敬先生が、実際の症例をもとに解説します。(談/東京慈恵会医科大学附属第三病院院長・精神医学講座教授・森田療法センター長 中村 敬、構成/慈恵大学広報推進室 高橋 誠)

まじめで内気な仕事人間
30代前半男性の悩み

 第3回は、大手精密機器メーカー勤務、20代で社内結婚、2歳の男児がいる30代前半男性の事例をご紹介します。

 入社以来、ずっと経理や総務畑を歩み、地道で堅実な仕事ぶりは上司からも評価されていました。社内結婚なので、残業や付き合いの多さなど、仕事の事情は妻の理解を得られており、一見、順風満帆な職場、家庭環境です。職場では上司や同僚の評価を気にして、家庭より仕事をずっと優先してきました。

 この男性の性格は、どちらかというと内気で、子どもの頃から試験の時などは緊張して手が震えたといいます。ある日、苦手な司会の任務が回ってきました。そして、緊張で震えてしまい、うまく司会進行ができませんでした。この失敗体験から、会議に出ることがつらくなり、中村敬先生にご相談しました。