社用族でにぎわった銀座に閑古鳥
日本一のネオン街がまるごと〝氷結〟 

「バブルのころと今の日本が同じ国とは、とてもじゃないけど思えない」

 バブル期の華やかなりしころを忘れられない銀座のオーナーママがぼやいた。

 接待文化の象徴として、会社の交際費で飲み食いする「社用族」でにぎわった銀座は今、どこも閑古鳥が鳴いている。

「企業が接待で2次会まで行かなくなったのが致命的だった」(クラブ関係者)

 社用族の足が遠のいた結果、銀座では数え切れないほどの飲食店が店を畳んだ。その数、数千軒ともいわれる。

 ちなみに、かつては決して見かけることのなかった中国人クラブやニュークラブと称される低料金のキャバクラがその隙間を埋めるように相次ぎ進出し、銀座の通りにはいつしか、そうしたクラブの客引きが溢れるようになっている。

「高級クラブが集中する老舗の名門ビルですら、テナントの稼働率が5割を切っている」(バー関係者)といわれ、日本一のネオン街はまるで、街ごと〝氷結〟してしまったかのようだ。

 背景には、企業の接待事情の激変がある。

 バブル崩壊後、経営合理化を余儀なくされた日本企業はコスト削減を徹底して推し進め、その余波で接待の〝軍資金〟となる交際費は激減してきた。

 バブル期に入るまでGDPと並行して右肩上がりを続けてきた企業の交際費は、ピークの1992年に6.2兆円を超えたが、それを境に、GDPが横ばいを続けたのとは対照的に急減。2010年には、平成に入って過去最低となる約2.9兆円まで落ち込んでしまった。