世界中で話題のバレットジャーナルは、単なる効率化のためのノート術ではない。仕事でもプライベートでも「自分への理解を深める」ことができるノート術だ。日々の生活でしばし足を止め、大切なことを箇条書きで書きだすだけで、「自分自身」や「心から大切に思っているもの」と再びつながれるようになる。シンプルだが人生を変えられるノート術なのだ。本連載では、発案者であるライダー・キャロル氏が書き下ろした初の公式ガイド『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』から本文の一部を抜粋して特別公開する。

バレットジャーナルで起きる変化とは?
――自分を深く知り、心から大切なことと再びつながる

ライダー・キャロル(Ryder Carroll)
バレットジャーナルの発案者。デジタルプロダクト・デザイナー
ニューヨークのデザイン会社でアプリやゲームなどのデジタルコンテンツの開発に携わり、これまでアディダスやアメリカン・エキスプレス、タルボットなどのデザインに関わる。バレットジャーナルは、デジタル世代のための人生を変えるアナログ・メソッドとして注目を集め、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ファスト・カンパニー、LAタイムズ、BBC、ブルームバーグなど多くのメディアで紹介。またたく間に世界的なブームとなる。初めての公式ガイドとなる本書は、アメリカで発売後ベストセラーとなり、世界29か国で刊行される。
著者公式サイト
http://www.rydercarroll.com/
バレットジャーナル公式サイト
https://bulletjournal.com/

 2015年、内気なデザイナーのアンソニー・ゴリティは、不満を覚えていた代理店を辞め、フリーランスになった。長年、独立することを夢見ていたのだ。

 ところが予想していなかったことに、仕事では以前より強いプレッシャーを感じるようになったうえ、スケジュール管理も自分でこなさなければならなくなった。そこで複数のアプリを利用し、なんとかスケジュールを組もうとしたものの、理想とするような柔軟性のあるアプリはなかった。

 そこで今度はToDoリストをノートに書きだしていったものの、頭のなかは混乱するばかりだった。クライアントはなんの前触れもなく電話をよこすし、必要なメモを探すのに6冊のノートをめくらなければならないこともあった。

 ノートに書き込んだことは覚えている……どこかに書いたはずなのに……おかしいな……こうして慌てて探し物をする時間が増えるにつれ、彼は自信を喪失していった。

 自分を売り込むのがもともと不得手だったため、セールストークも苦手だった──そのうえ、仕事の依頼があったとしても、その後はまた新たなストレスだらけの問題に直面した。独立してフリーになったのは間違いだったのかもしれないと、彼は後悔し始めた。

 ちょうどその頃、「そういえばどこかの動画で、ものすごく複雑な日記をつけるやり方を見たなあ」と、遠い記憶がよみがえった。動画でその方法を説明していた男は、必ず役に立つと確信しているようだった。

 そこでアンソニーはいろいろと珍妙なキーワードを入力し、ネットで検索した結果、ようやくバレットジャーナルのウェブサイトを見つけた。そのシステムは、彼の記憶にあったほどには複雑じゃなかった。そこで彼は新しいノートを手にとり、しなければならないことをすべて書きだし、整理し始めた。

 すると、いくつかの変化が生じた。まず、ひとりでじっくりと考えるための時間をもつようになった。そして、じつはToDoリストをつくるのが大好きなこと、タスクを順番に片づけていくのはもっと好きなことに気づいた。なにより、ノートのクリーンでクリアな空間を見ていると、自信が湧いてきた。

 気づいたことをすべてノートに書き留めることで、クライアントと電話で話しているときにも、気持ちを強くもてるようになった。準備ができているうえ、使える素材のこともよく把握できるようになったので、セールスマンではなく職人としての自覚が強くなった。バレットジャーナルのおかげで、秘めていた潜在能力を存分に発揮できるようになったのだ。

 これが、このノート術の重要なポイントだ。つまりバレットジャーナルを活用すれば、仕事でもプライベートでも「自分への理解を深める」ことができる。日々の生活でしばし足を止め、大切なことを細かく書きだすというシンプルな行為は、ただの整理術ではおさまらない。「自分自身」や「心から大切に思っているもの」と再びつながれるようになるからだ。