時間管理は、これまでもさまざまな手法が提案されてきた。昔から手帳術は日本人にとても人気のあるテーマだ。しかし、それらの手法を使って時間管理が上手になった人は一体どれだけいるだろうか。今、世界中で「バレットジャーナル」という画期的なノート術が話題になっている。毎日やるべきことに振り回されている現代人にとって、もう一度「やりたいこと」「自分にとって大切なこと」を見直し、実現するための自己管理ツールとして注目されている。はたして、そのメソッドとはどのようなものなのか?
本連載では、発案者であるライダー・キャロル氏が書き下ろした初の公式ガイド『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』の刊行を記念して、著名なバレットジャーナル・ユーザーや専門家たちに寄稿してもらう。今回は、日本でほとんど知られていない時期からバレットジャーナルの情報を積極的に発信している、むやたん(@muyatan)さんが、バレットジャーナルの特徴と魅力について語る。

やりたいことを実現するには時間を管理せず「やること」を管理する

人生が変わったバレットジャーナルとの出会い

やりたいことを実現するには時間を管理せず「やること」を管理するむやたん(@muyatan)
文房具をこよなく愛する事務員
東京都出身。 2016年3月からバレットジャーナルを始め、楽しすぎて誰かに伝えたくてブログ「むやろぐ」にまとめ始める。現在も毎日コツコツ愛用中。また、様々なバレットジャーナル本や、文具メーカーの見本記入などに参加。文房具の良さ、楽しさを伝える活動をしている。

 私がバレットジャーナルと出会ったのは、2016年2月のことです。手帳好きが集まる「手帳オフ会」で初めてその名前を聞いて、気になったのがきっかけです。

 私は、手帳を使うのは好きなのですが、どうもしっくりくるものがなく、途中で書くことをやめてしまい、新しい手帳を次々と試しては挫折しているタイプの人間でした。

 まだバレットジャーナルがあまり日本では認知されていない頃で、発案者のライダー・キャロル氏の公式サイトにある説明動画を見て、あまりの簡単さに驚きました。

 そして、たくさんの人たちが自分で使っているバレットジャーナルの工夫をシェアしあっている状況にワクワクしたのを覚えています。

 バレットジャーナルは、たくさんのアレンジがあり、YouTubeやInstagram、TwitterなどのSNS上には、かわいくデコレーションされたものが多く見られます。そういった、見て楽しい写真映えするものが多く取り上げられるので、敷居が高いと誤解されがちです。

 ですが、基本はとてもシンプルで、ノートとペンさえあれば始められますし、子どもから大人まで使える敷居の低さが何より良いところです。

 私はまず、公式サイトの解説の通りに始めました。お試しだと思い、普通の薄いノートとお気に入りのペンで書き始めました。

「時間」を管理しようとせず、
「やること」にフォーカスする

 手帳術=時間管理術という紹介が、日本では大半です。私も、さまざまな手帳の使い方を紹介する本をたくさん読み、試してみては挫折する、というのを繰り返していました。

 バレットジャーナルのように、「やること」と「残しておきたいメモ」に重点を置いた手帳術は初めての体験でした。

 いつもやりたいことはたくさん思いつくのですが、付箋やメモ帳に書いたり、スマートフォンのメモアプリなど、その時に使えるツールにバラバラに書いてしまい、結局はどこに何を書いたかを忘れて、何もできずに終わるということがしょっちゅうでした。

 毎日手帳に予定を書き、時間管理をしているはずなのに、やりたいことができずにいつも締め切りに追われてしまい、あっという間に1日が終わってしまうのです。

 そこで、バレットジャーナルの数少ないルールに沿って、やることや予定、重要だと思ったことをノートにメモしました。そして、何をすればいいかを考えるときは、そのノートをもう一度開き、やることを見つけて実行してみる。それを繰り返してみました。

 1週間もしないうちに、私のやることリストはどんどん完了していき、達成感を味わいました。ノートにやることを書いて、頭の中のごちゃごちゃを整理しただけで、効果は抜群にありました。

 朝と夜の2回、やることリストを見て振り返りをすることで、できないことをできる程度に細分化したり、本当は必要のないことを書いていると気づいて消したりと、「どうしてできなかったのか、どうすればできるようになるのか」と考え始めるようになりました。まさにライダー・キャロルさんが『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』で書いている通りです!

 ノートにはできることが限られているので、気が散る要素が少なく、すぐに次のやることに取りかかれるようになるのも大きな特徴です。

 そのうち、やりたいことリストを作ったり、世界中のバレットジャーナルユーザーの経験を参考に、自分なりにカスタマイズもするようになっていきました。

 ノートとペンがあれば、本当に1日がスムーズにいくようになっていきました。いつも、1日のこの時間にこれをする!と細かく時間管理をしては達成できずにイライラしていた私が、気分良く1日を終われることが増えていったのです。もっと早く教えてほしかった、と激しく後悔したほどです。