「企画プレゼンが通らない」「営業先の反応が弱い」「プレゼン資料の作成に時間がかかる…」など、プレゼンに関する悩みは尽きません。そんなビジネスパーソンの悩みに応えて、累計20万部を突破した『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』シリーズの最新刊『プレゼン資料のデザイン図鑑』が発売になりました。この連載では、同書のコンテンツを紹介しながら、著者・前田鎌利氏がソフトバンク在籍時に孫正義社長から何度も「一発OK」を勝ち取り、ソフトバンク、ヤフーをはじめ約600社に採用された「最強のプレゼン資料作成術」のエッセンスをお伝えします。
一流のプレゼン資料に隠された<br />「グラフ」をシンプルに加工する裏技とは?

 早速ですが、この約20秒の動画をご覧ください(お急ぎの方は、この動画だけご覧いただいてもポイントを把握いただけます)。

 いかがでしょうか?

 改めて、ビフォー・スライドを見てみましょう。

ビフォー・スライド

 このスライドは、自社で導入している3つのオペレーション・スキームのなかで「KIR」の実績が優れていることを示したうえで、「KIR」を関連会社に導入することを提案するスライドです。しかし、その意図を、一瞬で読み解くことができないスライドになっています。

 その原因は大きく2つあります。第1に、折れ線グラフの加工が不十分であること。第2に、キーメッセージが一番下にあるために目に入りにくいことです。

 どのようにスライドを改善していけばよいか、順を追ってご説明します。まず、連載第1回でもお伝えしたように、プレゼン資料は「左グラフ、右メッセージ」が最も理解しやすい形ですから、下図のように折れ線グラフを左に圧縮します。

折れ線グラフを左に圧縮

  ご覧のようにグラフを左に圧縮すると、折れ線に角度がつきますから、数字の変化もよりわかりやすくなります。

 さらに、下図のように、余計な罫線、凡例、数字はカットしてスッキリと見やすくするとともに、「見せたい折れ線」(ここでは「KIR」の折れ線」)を太くするとともにカラーにし、それ以外の折れ線はグレイアウトにすると、何を伝えたいのかが一瞬でわかるスライドになります。凡例は、折れ線グラフの右端に明記すればOKです。

何を伝えたいのかが一瞬でわかるスライド

 最後に、キーメッセージをシンプルにしたうえで、グラフの右側に大きく表示して完成です。

キーメッセージをシンプルにしたうえで、グラフの右側に大きく表示して完成

 このように、折れ線グラフに一手間かけることで、格段とわかりやすいスライドにすることができます。ぜひ、このケースを参考に、みなさんのスライドをブラッシュアップしていただきたいと願っています。

一流のプレゼン資料に隠された<br />「グラフ」をシンプルに加工する裏技とは?
前田鎌利(まえだ・かまり)
1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会、経営戦略部門において中長期計画の策定、渉外部門にて意見書の作成など幅広く担当する。
2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認されたほか、孫社長が行うプレゼン資料の作成も多数担当した。ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ダイヤモンド社)を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。
ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、株式会社ベネッセコーポレーションなどの教育関係企業・団体のほか、鉄道事業社、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。