同様の裁判ではすべて中国側が勝訴
なぜ今回は負けたのか
中国でジャガー・ランドローバー(以下JLR)が陸風汽車(英語名ランドウィンド)を相手どり訴えを起こしていた“コピー車裁判”は、意外な判決が下った。中国北京市の裁判所は、「陸風汽車製のSUV、X7がレンジローバー・イヴォークによく似ていて消費者を混乱させる」というJLRの主張を全面的に認め、陸風汽車に対し“X7の製造販売即時停止とJLRへの賠償金支払い”を命じたのだ。過去に争われた同様の裁判ではすべて中国側が勝訴していた。なぜ今回、中国企業は負けたのだろうか。
陸風汽車がX7を広州モーターショーで発表したのは2014年11月だった。JLRはすでにレンジローバー・イヴォークを発売していたし、同じ中国の奇瑞汽車との間で12年に合弁生産契約を結び、新工場を建設していた。この工場は14年秋に完成し、中国製のレンジローバー・イヴォークは同年末から生産が始まった。同じ時期に陸風汽車がX7を発売したため、JLRはこれを「よく似たコピー車であり意匠権の侵害だ」と提訴した。
JLRは裁判所に「イヴォークの特徴であるクーペスタイル」「車体前面と後面のデザイン」「ボンネットフード前端の文字の配置」など5項目について陸風X7の類似性を訴えた。実際、両車はよく似ている。裁判所はJLRの主張をすべて認めたのだ。メディアは「米国が求めている知的財産権の保護について行動で示した」「知財保護の姿勢をアピールする狙い」とJLR勝訴の理由を挙げたが、別の事情もある。