読書する子「自分から勉強する子」を育てるには? Photo:PIXTA

近い将来、AIやロボットが多くの仕事を代替すると考えられている。そのときに人間に必要なのは、「AIにできない仕事をする」能力だ。脳科学者・茂木健一郎氏は、これからの時代には「自分の頭で考えられる力=地頭の良さ」が重要だと語る。氏の最新刊『本当に頭のいい子を育てる 世界標準の勉強法』から一部を抜粋して、自分の頭で考えられる力を育む「探究学習」を紹介する。

小学生のエジソンは、先生を質問攻めにした

茂木健一郎茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。
東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。 写真:片桐圭

 自分から進んで勉強や探究をする子に育てるには、親が教育に熱心であるよりも、むしろ「子どものことは見守りつつも野放し」である方が良いのです。

 なぜかというと、親が教育熱心な場合は、親は本を読んだりインターネットを使ったり、知り合いからの情報を得ながら、集めた情報を子どもに教えたくなります。すると、つい「成績を上げるには〇〇をした方がいいよ」とか、あるいはもっと強い口調で「〇〇をしなさい」と指示を出してしまいがちです。

 親から命令や指示を出されることに慣らされてしまった子どもは、やがて自分で考えて動けなくなってしまいます。親としては子どものためを思ってしていることが、かえって子どもから自主性や好奇心を奪い、親の顔色ばかりを窺う萎縮した子どもに育ってしまいます。

 また、親から命令や指示ばかり出されている子は、何か疑問があってもすぐ親に聞いてしまい自分で調べなくなるか、疑問すら浮かばなくなることもあります。

 子どもは本来、好奇心の塊で「なぜ?」「どうして?」が常に頭の中をかけめぐり、それが探究心へと繫がっていくものです。誰もが知っている偉大な発明家エジソンは、幼い頃から「なぜ、なぜ」と疑問を持つ好奇心旺盛な少年でした。

 エジソンは小学校に上がっても、「なぜ、なぜ」がおさまらず、ときには先生を質問攻めにしました。そして学校の授業を妨害したという理由で、わずか3ヵ月で退学させられてしまいます。

 そのため、元教師であった母親がエジソンに勉強を教えたという逸話が残されています。今でいう、ホームスクーリングというわけです。エジソンの母親は、エジソンの「なぜ?」に対して、できる限り丁寧に説明したと聞きます。また、自分がわからないところは、エジソンと一緒になって調べたとか。エジソンの母親は、「なぜ?」をとても重要視したということです。