中小企業の経営者が見直すべき3つのこと
小宮コンサルタンツ代表
日本の企業約359万社のうち、中小企業は99.7%を占めています(※2016年6月時点、中小企業庁調べ)。これらの中小企業はやがて大企業へ成長していく…わけではなく、大半は中小企業にとどまっています。しかも実力差は大きく、語弊があるかもしれませんが、あえて野球に例えると、大企業がメジャーリーグや日本のプロ野球レベルなら、中小企業の多くは草野球レベルにとどまります。
なぜ、中小企業は大企業になれないのでしょう。当社(小宮コンサルタンツ)のお客さまは大企業から中小企業まで多岐にわたるので、その理由がよく分かります。一言で言えば、経営者が自社の実力を高めるすべを知らなかったり、戦力を補強する資金を持たなかったりするためです。
自社の実力を高めるためには、経営を見直さなければなりません。経営とは、(1)企業の方向付け、(2)資源の最適配分、(3)人を動かすことです。
経営では、とにかく「企業の方向付け」が大切です。草野球レベルから脱するには、経営者が自社の事業のうち、何を続けるのか、何をやめるのかを適切に判断する必要があります。独自性が出せない分野で戦っていたのでは、経営者がどれほど努力をしても上を目指すことはできません。中小企業が有利なのは、小さな市場や衰退市場であっても、自社の売上高やシェアが小さいために、売上や利益を伸ばせる余地が大きいことです。実際、私が社外役員や顧問を務める会社の中でも、このところ、1、2位を争って伸びているのは、成人式の着物のレンタル販売を行っている会社と印刷会社です。どちらも国内でしか事業を行っていませんが、抜群にと言っていいほど成長しています。いつも話しているように、Q、P、S(Quality, Price, Service)の組み合わせで独自性を出しているからです。
同じ事業を長く続けていると、自社を取り巻く環境が見えにくくなるものですが、客観的に、そして素直に同業他社の状況を分析すれば、どこで差別化するか、あるいは撤退を検討すべきかが分かってきます。