――ビジネスと暮らしの境界がだんだんなくなっている感じですね。

豊原 そもそも仕事って、幸せに生きていくためのものでしょう。みんなが気持ちよく生きるために働いているのに、仕事のせいで楽しく生きられないなら本末転倒です。考えてみれば、「ライフワークバランス」なんて言葉もおかしいですよね。本来、ライフとワークは一体で切り離せないものですから。

 もちろん、仕事の対価はきちんといただいています。実際、ゲストハウスでも貿易代行でも、私の提示する価格は相場よりも数倍高いんです。その代わり、他にはできないサービスを提供します。徹底的にカスタマイズされたサービスは、突き詰めれば1対1の人間同士の付き合いに始終すると思います。

麓尊苑
1日1組限定の麓尊苑は、訪れる際に4WDを推奨している

クリエイティブな仕事の資源は
実は地方の方が圧倒的に豊富

麓尊苑のピザ窯
冬の麓尊苑では、薪ストーブでピザを焼くのも楽しみのひとつ

――そういう生活に密着したビジネスができるのも、地方の特色でしょうか。

豊原 クリエイティブな仕事をするための資源は、地方の方が圧倒的に豊富ですね。都会には都会の刺激があるのでそれを否定するつもりはありませんが、「都会から発信される経済こそが絶対」というような価値観には、どんどん異議を唱えていきたい。地方発信の経済が、日本経済の大きな流れになればいいなと思っています。

――そう考えると、ある意味、東京の都市型経済圏よりも地方の方がグローバルかもしれません。

豊原 本当にその通りで、私は「グローバルかどうか」は「本質的かどうか」とほぼイコールだと思っています。本質的だからこそ、世界とつながれる。実際に、はるばる外国から来てくれたゲストが、「和歌山の何もないところが素晴らしい」と言ってくれます。ゆったりとして、心が穏やかになれる。これは世界共通の本質的な価値ですよね。

 京都や奈良といった古都も素敵ですが、「普段着の日本」はもっと世界に発信する価値がある。そのような視点でこれからの観光を考えるとき、和歌山はとても魅力的な場所です。