物質的な豊かさではなく、新しい体験やサービスの価値が求められる今の時代、企業は創造的な文化や仕組みを自社に取り入れ、定着させないと厳しい競争を生き残ることができない。とりわけ人口減少、高齢化、労働力不足、経済・情報の格差拡大など、ビジネスに関する多くの課題を抱えているのが地方の企業である。

実際のところ、社内で新規事業の担当に任命され、何をどうしてよいかわからずに悩むビジネスパーソンや、一念発起して起業したものの、自社の商圏を確立できずに悪戦苦闘を続ける経営者らは多い。その一方で、ビジネスの課題を解決し、新しい価値を創出することに成功して、にわかに注目を集めているパイオニアたちがいる。なかには、地方のスタートアップ経営者も少なからずいる。彼らはなぜ、どのようにして成功できたのか。興味深い経歴を持つ経営者に「成功するための思考法」を聞いた。(取材・文/フリーライター 小林直美)

クラウドファンディングで国内最高額
業界を変える「次世代の乗り物」とは?

glafit株式会社の鳴海禎造社長

 まず紹介するのは、和歌山県に本社を置くスタートアップのglafit(グラフィット)株式会社。代表取締役の鳴海禎造氏は、もともと2003年に自動車販売の会社、2007年にはFINE TRADING JAPANという会社を立ち上げ、四輪車や二輪車のドレスアップ・パーツの製造・販売を行ってきた。

 しかし「目先で必要とされるモノだけをつくるのではなく、どうせなら100年のビジョンを持って会社を経営したい」と一念発起。自社ブランド「glafit」を立ち上げ、自動車産業にパラダイムシフトを起こすべく、プロジェクトを開始し2017年に発売したのが「glafitバイクGFR-01」である。