物質的な豊かさではなく、新しい体験やサービスの価値が求められる今の時代、企業は創造的な文化や仕組みを自社に取り入れ、定着させないと厳しい競争を生き残ることができない。とりわけ人口減少、高齢化、労働力不足、経済・情報の格差拡大など、ビジネスに関する多くの課題を抱えているのが地方の企業である。

実際のところ、社内で新規事業の担当に任命され、何をどうしてよいかわからずに悩むビジネスパーソンや、一念発起して起業したものの、自社の商圏を確立できずに悪戦苦闘を続ける経営者らは多い。その一方で、ビジネスの課題を解決し、新しい価値を創出することに成功して、にわかに注目を集めているパイオニアたちがいる。なかには、地方のスタートアップ経営者も少なからずいる。彼らはなぜ、どのようにして成功できたのか。興味深い経歴を持つ経営者に「成功するための思考法」を聞いた。(取材・文/フリーライター 小林直美)

アニメファンの「聖地巡礼」を支援
ユーザー数を増やし続ける「舞台めぐり」

 ソニーがアニメの「聖地巡礼」アプリで地域活性化に乗り出した理由
アニメやゲームの舞台となった場所を、簡単に楽しく巡ることができるスマホアプリ「舞台めぐり」。ソニーグループの企業が提供する

 ドラマやアニメのストーリーには、時として実在する場所が登場することがある。そんな現場はファンにとってまさに「聖地」。作品の世界を追体験しようと、実際に現地へ赴く「聖地巡礼」を行うファンは後を絶たない。

 その「聖地巡礼」を支援するスマートフォン向けアプリ「舞台めぐり」が、実はソニーの関連企業から公開されている。ファンが「聖地」を堪能し尽くす、至れり尽くせりの機能が満載で、すでにユーザー数は20万人弱、登録作品数も100作品を超えている。

 注目すべきは、こうした聖地巡礼をサポートする仕組みの後押しもあり、閑古鳥が鳴いていた地方都市に観光客が殺到するようなケースが出始めていることだ。外国人観光客によるインバウンド消費を見てもわかる通り、これまで地域に縁がなかった人々が外から流れ込み、地元の消費を盛り上げる経済効果は想像以上に大きい。「聖地巡礼」は、人口減少や景気低迷に悩む地方経済にとって、まさに救世主である。