2010年にスタートした独立系ベンチャーキャピタル(VC)のインキュベイトファンド。ジャフコ出身の赤浦徹氏をはじめとして、個人でも投資活動をしてきた4人のキャピタリストが共同で代表をつとめる独立系のVCだ。彼らは創業前の起業家予備軍とも対話して経営の伴走者となっている。5月16日に上場承認が下りたばかりのSansanや創業からわずか4年で上場したGameWithも、創業前からの支援先だ。また自ら投資をするかたわらで、若き投資家に資金を提供し、独立を支援することにも積極的だ。4人の代表パートナーの中から、和田圭祐氏と村田祐介氏に話を聞いた。(取材・文/野口直希、岩本有平・ダイヤモンド編集部副編集長)
100社以上のシード期スタートアップに投資
――インキュベイトファンドは4人のパートナーが共同で立ち上げたと聞いています。ファンド設立の経緯と、ベンチャー投資の特徴について教えてください。
和田圭祐(以下、和田) 別々に活動していた4人のパートナー(注:VCの役職で、投資の意思決定者)が2010年に集まって立ち上げたファンドです。
きっかけは、代表パートナーの一人である赤浦徹です。赤浦は1999年にジャフコから独立して、独立系ベンチャーキャピタルの「インキュベイトキャピタルパートナーズ」を設立しました。以来、いくつかのファンドを立ち上げ、2007年には、当時独立したばかりだった私のファンド「セレネベンチャーパートナーズ」や、現在インキュベイトファンドで代表パートナーの一人として活躍する本間真彦のファンド「コアピープル・パートナーズ」に出資しています。
その後、それぞれ独立系VCとして活動していた赤浦と本間と私、そしてエヌ・アイ・エフベンチャーズ(現:大和企業投資)から独立した村田の4人が集まって立ち上げたのがインキュベイトファンドです。
村田祐介(以下、村田) 我々は創業してすぐ、シード期のベンチャー企業を支援しており、これまで国内・海外それぞれで100社以上に出資しています。将来有望なベンチャー企業をリサーチして声をかけることもあれば、投資希望者と面談して出資するかどうか判断させていただくこともあります。
また、大きな特徴のひとつになっているのが、1泊2日の合宿プログラム「Incubate Camp(インキュベイトキャンプ)」です。このプログラムには、投資を希望する起業家とインキュベイトファンドをはじめとした各社のベンチャーキャピタリストが参加します。起業家とキャピタリストがそれぞれ1人ずつタッグを組み、ビジネスプランを磨き上げて、2日目に開催するピッチ(プレゼンテーション)に臨みます。プログラム中のコミュニケーションを通じて、起業家とキャピタリストそれぞれが新たなパートナーを見つけることができます。