メルカリやアカツキへの投資でも知られる老舗独立系ベンチャーキャピタルのグロービス・キャピタル・パートナーズが、最大375億円という大型ベンチャー投資ファンドを組成した。投資先に対して1社50億円までの資金を提供し、企業価値10億ドル超えのいわゆる「ユニコーン企業」を日本から生み出すことに注力する。GCPの代表パートナー3人にこれまでの歴史と、今後の挑戦について聞いた。

左からグロービス代表パートナーの高宮慎一氏、今野穣氏、仮屋薗聡一氏
左からグロービス代表パートナーの高宮慎一氏、今野穣氏、仮屋薗聡一氏

 ベンチャーキャピタルのグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)。同社は4月16日、第6号となるベンチャー投資ファンド「Globis Fund VI, L.P.およびグロービス6号ファンド投資事業有限責任組合」の一次募集を完了した。現在のファンドサイズは360億円で、最終的には総額375億円規模まで拡大する予定だ。

 一次募集のLP(Limited Partner:有限責任の出資者)には、三井住友トラスト・グループのジャパンビンテージファンド2019投資事業有限責任組合、日本政策投資銀行、中小企業基盤整備機構、東京海上アセットマネジメント、損害保険ジャパン日本興亜、三井住友銀行、横浜銀行のほか、企業年金基金や金融法人・大学基金等を含む国内外大手機関投資家が連なる。

 新ファンドでは「First to Last」、つまりシードステージから上場直前のレイターステージ、さらには時価総額10億ドル(約1000億円)超のユニコーン・ラウンドまでの投資継続を掲げており、1社あたり最大50億円の投資(追加投資含む)を行う。加えて、大企業からのカーブアウト(事業分離)案件やMBO(経営陣による買収)にも取り組むとしている。

 同社がベンチャーキャピタル事業を開始したのは23年前の1996年。これまでの運用総額は累計1000億円、投資先は150社に上る。GCPにいる4人の代表パートナーのうち3人の仮屋薗聡一氏、今野穣氏、高宮慎一氏に、これまでの歩みと、新ファンドでの取り組みについて詳しく聞いた。

企業を創ることを通じて産業を創る

――GCPの1号ファンドを立ち上げたのは1996年です。あらためて、設立の経緯を教えてください。

仮屋薗聡一(以下、仮屋薗) グロービスグループはもともと、ヒト(経営大学院の創設と企業内リーダーの育成)、チエ(経営ノウハウの出版・発信)、カネ(ベンチャー企業への投資)という3つのビジネス基盤を構築することで、社会に創造と変革を導くというビジョンのもとに堀(グロービス経営大学院学長、グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナーの堀義人氏)が立ち上げた組織です。

 具体的には1992年にヒト、つまり今のグロービス経営大学院の母体となる教育事業を始めました。そして94年にはチエにあたる出版の事業を開始しました。96年になってやっとカネの機能、つまりベンチャー投資ですね。これを始めました。

 私自身は92年のグロービス発足のタイミングで、MBA生徒として企業派遣で参加しました。当時の生徒仲間で「起業イノベーション研究会」というベンチャーの研究会を主催したり、その勉強会でまとめた内容をもとに書籍を出版したりしています。そこから経営陣と仲良くなっていったのですが、その後私は米国に留学することにしました。そして96年に、堀がベンチャーキャピタルを始めるということで、留学中だった私に声がかり、帰国とともにアーリーステージ向けのファンドの立ち上げを進めました。それがGCPの1号ファンドです。