日本では、高速データ通信が驚くほど普及している。10年近く前から、iモードをはじめとする各種のリッチなコンテンツは、海外とは雲泥の差であった。

 今でも、携帯用のWebコンテンツに関しては、大きな差がある。日本では、携帯電話に特化したWebやメールが、パソコン用とは別に発達した。ところが、アメリカでは、携帯電話はしばらく通話専用だった。そのうち、メールやWebに対応した端末をポケットに入れて持ち運びたくなると、スマートフォンがヒットした。つまり、携帯専用のサービスではなく、パソコン向けに作られたコンテンツやメールを携帯でも利用しようというわけだ。

 たとえば、メールを見ると分かりやすい。日本ではパソコン用のメルアドと、携帯のメルアドを2つ利用している人がかなりいる。いつの間にかビジネスのメールはパソコンのアドレスを使い、プライベートは携帯メールといった使い分けが、ごく普通になってきている。

 スマートフォンを売りたいキャリアは、「スマートフォンなら携帯メールとパソコンメールが両方見られて便利です」と、訴求する。だが、すでに普通の携帯電話でもパソコン用のメールを送受信できるし、その気になれば転送も可能だ。

片手打ちの日本にQWERTキーはいらない

 アメリカでは、通話が主流として携帯電話が使われてきた。ところが、日本では、若年層を中心に携帯メールばかりを使うユーザーが多い。

 これは、交通インフラの違いとしか考えられない。アメリカでの移動は車が中心なので、通話しながら運転できるのだ。それが証拠に、やたらにBluetooth接続のヘッドセットを付けている人が多い。運転中にハンズフリーで通話するわけだ。