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――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 それは心地良くもはかない夢にすぎなかった。

 米鉄鋼業者は先週、カナダとメキシコに対する鉄鋼・アルミニウム関税の撤廃によって厳しい現実に目覚めた。しかし、さらに大きな問題が待ち受けている。中国が近く、余剰鋼材の輸出を増やすかもしれないからだ。

 ドナルド・トランプ米大統領は17日、2018年半ばにカナダとメキシコに発動した25%の鉄鋼関税と、カナダ・メキシコ両国も米国への報復関税をそれぞれ撤廃することで合意したと発表した。これでトランプ氏にとって、北米自由貿易協定(NAFTA)を改定した「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の議会批准に向けた主な障害が取り除かれた。

 米鉄鋼業者にとっては確実に打撃だ。関税によって、石油や自動車などの鋼材を消費する業界は犠牲を強いられたが、米国の鉄鋼価格は2018年はおおむね世界平均を大幅に上回る水準に引き上げられた。ムーディーズによると、カナダとメキシコ産の熱間圧延コイル鋼板は25%の関税を上乗せしても約5%安い。

 一方、中国の鉄鋼業者は、鋼材の主な需要源である不動産投資の成長に呼応するペースで生産量を増やしている。この傾向が続き、中国が2014年のように生産余剰を輸出し始めれば、世界の鉄鋼市場は低迷しかねない。