組織を代弁する反対派をそばに置く

 そしてちょうどその頃、松井さんが立候補する知事選と僕が立候補する市長選のW選挙がありましたから、職員基本条例案を選挙の公約にして、争点化しました。メディアは職員基本条例案に批判的でしたから、小西さんたち反対陣営は、メディアに対しても問題点をどんどんレクチャーしていました。僕はそのような府庁総務部の行動を止めることはしませんでした。選挙で住民の支持を得ればいいだけなのですから。

 結果的に、僕と松井さんが選挙で勝ちましたので、小西さんや府庁職員たちは決まったことには従ってくれました。職員基本条例案は、ここまで府庁が反対する案なのですから、小西さんを人事で替えたとしても、職員基本条例案を忠実に実行してくれる人材を見つけるのは大変です。それぐらい府庁にとっては断固反対な案だったわけで、ここは最後は民意を使うしかないと判断したのです。

 もちろん、民間企業では選挙という手段は使えません。ただ、僕が言いたいのは、組織内で猛反発を受ける案については、反対派に徹底的に意見を述べさせる機会を与えるマネジメントをすべきということです。そういう意味で、組織を代弁する反対派をそばに置いておく必要があります。「この人が反対していたにもかかわらず、決まってしまったならば仕方がない」と、組織のメンバーがある意味「諦めてしまう」反対派を、です。そして最後は、決まったことには従ってもらう。ここまでやっても従ってくれなかったら、いよいよ人事で交代です。小西さんたちは、役人として、見事その反対派の働きをしてくれました。

(弁護士 橋下徹)

※本文は書籍『実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた』を一部抜粋して掲載しています。