加計学園による獣医学部新設問題に対して。安倍首相は「プロセスに一点の曇りもない」と自民党総裁選の討論会で強調した。だが、この問題に関して「納税者として怒っている」というのが橋下徹・前大阪市長。国家戦略特区の枠組みで加計学園に獣医学部新設が認められた一連の手続きに、疑わしい点がぬぐえないことももちろんだが、この程度の改革で首相がわざわざ出張らなければいけないことが「異常」だという。近著『政権奪取論 強い野党の作り方』で、既得権と業界団体の意向でがんじがらめの日本の政治に、橋下氏が「喝」を入れる。
加計学園問題について、安倍さんは国会で「加計学園が特区で獣医学部の新設を申請している事実は2017年1月20日に初めて知った」と発言した。
安倍首相は、獣医学部の事業者選定が本格化した16年においても、加計学園の加計孝太郎理事長と飲食・ゴルフをしていた。
加計学園は、特定の事業者に特権を与える政府手続きの利害関係者であり、その理事長との飲食・ゴルフは大臣規範(国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範)に抵触する可能性がある。そうした疑惑を全否定するために、安倍さんは、加計学園が利害関係者=特区の申請者であることを知ったのは、17年1月20日であるとしたのだろう。
そして、安倍さんのその発言に疑いを抱かせるような事実、例えば15年4月、当時安倍首相の秘書官だった柳瀬唯夫元経済産業審議官が加計学園関係者と面会したことなどは徹底して隠されていた。
仮に、柳瀬さんが安倍さんに対し面会の報告をしていれば、安倍さんは加計学園の特区申請に関して15年には知っていたことになり、国会答弁は虚偽になる。柳瀬さんは加計学園関係者との接触の事実を当初は認めることはなかったが、その後出てきた愛媛県作成文書によって、加計学園関係者と同行していた愛媛県職員との接触の事実は認めざるを得なくなった。ところが柳瀬さんは、今度は愛媛県職員とは加計学園の特区申請の話はしたが、そのことは上司である安倍さんに報告をしていないと答える。
しかし、そもそも安倍さんと加計さんの友人関係からして、一般的な感覚からすれば、17年になるまで安倍さんが加計学園の動きを「何も知らなかった」というのは、極めて疑わしい。