Jリーグでは2016シーズンのJ3で試験導入し、その後のYBCルヴァンカップの準決勝以降、当時開催されていたJリーグチャンピオンシップなどでも採用。2017および昨シーズンはグループリーグを含めたルヴァンカップの全試合で導入した成果を、Jリーグの村井満チェアマンはこう語る。

「退場や警告など、ペナルティーエリア付近における悪質なプレーが減少したことで、けん制が働いている、という一定程度の成果があることを認識しました」

 GLTとAARがIFABの特別会議で承認されたのは2012年7月。他の競技と比べてルール改正へのスピード感が乏しく映る理由は、IFABが「サッカーの判定は人間が行うものであり、審判団のミスも含めてサッカーという試合が成り立つ」という考え方にこだわってきたからだ。

 しかし、プレーのスピードが桁違いに増している現代サッカーにおいては、審判団にかかる負担は計り知れないほど増大している。こうした流れを目の当たりにする中でIFABの姿勢も次第に軟化し、昨夏のワールドカップ・ロシア大会でお馴染みになったVARの正式導入を2018年3月に決めた。

 ヨーロッパ各国のリーグ戦でも、VARはすでにイタリアのセリエA、ドイツのブンデスリーガ、スペインのラ・リーガ、フランスのリーグ・アンで実施。来たる新シーズンではイングランドのプレミアリーグでも導入され、5大リーグと呼ばれるすべてで利用されることになる。

 対象となるのは(1)ゴール、(2)PK、(3)レッドカード、(4)処分対象の選手が間違っている――場合のみで、試合映像をチェックしているビデオ担当副審がこれらに該当する反則や事例があったと判断すれば、無線を介して主審へ映像確認を勧める仕組みになっている。

 また、自らが下した判定に不安を覚えた主審が、映像を介して最終的に確認することもできる。FIFAとIFABはVARを「サッカーをクリーンにした」とポジティブに受け止めていて、瞬く間に世界的な潮流となった。JリーグでもAARからVARへ、今シーズンから舵を切ったばかりだ。