ビデオ判定導入までに
資金的&時間的なハードルも

 もっとも、一朝一夕に導入できるわけではない。映像をチェックするのは基本的に3人。海外ではVARとアシスタントVARはトップレフェリー経験者が務め、残るリプレーオペレーターには必要とされる場面の映像を瞬時に検索および再生させる上で高い技術が必要となる。

 ゆえにVARの導入へは対象者に関して、IFABによって非常に細かく、なおかつ厳格なトレーニングステップが義務づけられている。最速で2021シーズンからの導入を目指して、Jリーグでは今シーズンのルヴァンカップの決勝トーナメント計13試合で初めてテストとして導入される。

 つまり、VARには各種機材をそろえるための資金と、審判団を養成するための時間がかかる。一度はAARを目指してきた事情もあり、VAR導入で出遅れた背景もある。ただ、大きな議論を巻き起こした明らかな誤審が発生したという事実を、件の試合を担当した審判団への処分を下しただけで済ませることもまたできない。

 審判に関してはJリーグではなく、日本サッカー協会(JFA)の審判委員会が統括する。そして誤審が起こってすぐに、JFAは臨時審判委員会を開催。小川佳実審判委員長は再発防止へ向けて、早ければ8月からJ1にAARを導入することで検討に入ったと明かしている。

 AARに関しては、VARのようなトレーニングステップは課されていない。ただ、試合状況に応じた立ち位置や目線の置き方を習得するための練習が定められている。J2やJ3とも連動して、必要とされる審判員を確保する作業も必要になる。

 村井チェアマンも、AARを「具体的な措置としては非常に有効」と位置づける。もっとも、AARにしてもVARにしても、審判団の中で瞬時にコミュニケーションを取る作業が欠かせない。ヒューマンエラーを防ぐという、サッカー界における永遠のテーマを今回の誤審問題を介してあらためて共有しながら、短期的にはAAR、中長期的にはVARという手段を講じていくことになる。