シリコンバレーは最新テクノロジーで解決できない問題を抱えている。必要な条件を満たす最高財務責任者(CFO)の不足だ。スタートアップ企業が大型化し、組織の複雑さが増すにつれ、財務規律を強化でき、経営手腕に優れたCFOを探し始めるケースが多い。有望な候補者には投資家や金融機関との交渉や新規株式公開(IPO)の経験、テクノロジー業界特有の規制や会計慣行に関する知識に加え、急成長する赤字企業での過酷な勤務をこなせる忍耐力が求められる。こうしたCFO探しは往々にして、その企業が上場を本格的に検討し始めている証拠だ。しかし、全ての条件に当てはまる候補者を見つけるのは至難の業でもある。その一因は、スタートアップ企業を評価額10億ドル(約1092億円)超のユニコーン企業へ育て上げた経験を持つ候補者の多くが、もう一度同じ道を通るのを望んでいないことにある。「前にそれを経験したCFOは、後戻りするのを嫌がる」。ヘッドハンティング会社トゥルー・リサーチのローダ・ロングヘンリー氏はこう話す。