欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)がフランス自動車大手ルノーに提案した大型統合の核心には、バリュエーションを巡る難問がある。FCAの27日の提案はルノーを著しく過小評価している。だからといって、ルノー株主が一段と高い価格の提示を引き出せるとは限らない。FCAはタイミング的に抜け目ないアプローチを取っている。FCAは自社の株主に27億5000万ユーロ(約3400億円)の配当を支払った上で、株式資本を50対50とする対等な統合を提案しているが、足元では同社の時価総額がルノーを上回り、まれなタイミングとなっている。過去15年でFCAがルノーの時価総額を上回ったのは他に唯一、金融危機の直後だけだ。FCAの前身のイタリア自動車大手フィアットは当時、経営破綻したクライスラーを買収したが、それも破格の値段だったことが後に明白になった。