昇給よりも成長
仕事は精神的な満足を得るもの

 また、インタビューの中では、「他の税金の安い国に行って同じことをやれば、手取りが増えるじゃないですか。そういうことは考えませんか?」と何度も聞いてみたのですが、驚くことにほぼ100%の人が「それはしない」と言います。

「では、どういう理由だったら、そうしますか?」と尋ねると、次のように答えてくれました。

[北欧現地インタビュー:お金と仕事編]<br />バブルを生きてきた日本人は、<br />「満足の閾値」がムダに上がってしまっている

「引っ越しをするとしたら、それは税金がどうかとかじゃなくて、どういう挑戦が与えられるかということです」
クリスチャン・ブライバイスさん/デンマーク/不動産会社勤務

「今以上に税金が上がるとか、何か問題があれば別の国で働くことを考えるかもしれません。でもそれより、違う国の文化を体験したい、たとえば言語を覚えたいとか、何か挑戦したいことがあったときに考えるでしょうね」
フレデリック・ディットレーヴ・オッテトロエルさん/デンマーク/製薬会社勤務

「まず第一に、仕事が面白そうかどうか。もうひとつは外国に暮らすことで、その国の新しい文化とか習慣を学びたいと思います。とくに子どもにとっては、言語が増えることで世界が広がるし、すごく重要なんじゃないかな、と」
アルト・トゥルネンさん/フィンランド/「ノキア」勤務

 別の国に出て行かない理由としては、もちろん家族を中心としたコミュニティや、生まれ育った場所を大切にしているということもあるでしょう。

 ただ、お金のために何かをやることはないという姿勢、目の前のものは追わず、自分にプラスになること、面白いと思えるものを追うというスタンスが、とても印象に残りました。

 また、あなたが仕事にどんな喜びを感じているかを質問したときのことです。お金はもちろん大切だけれど、「もっとチャレンジングな仕事がしたい」とか「何か達成感を得られるようなことをしたい」「成長したい」という人が大多数。彼らは、仕事から体験的、精神的な満足を得ていました

「お金よりも仕事の内容。どれだけ自分がチャレンジできるかが大事なので。給料が高ければ最初の3ヵ月は満足するかもしれないけど、それ以上になったらもっと欲しいと思ってしまうから」
クリスチャン・ブライバイスさん/デンマーク/不動産会社勤務

[北欧現地インタビュー:お金と仕事編]<br />バブルを生きてきた日本人は、<br />「満足の閾値」がムダに上がってしまっている

「一番重要なのは、自分のしている仕事がちゃんと評価されること。その次は、もっと高いレベルの仕事に向かうこと。もちろん、サラリーやいい同僚がいることも重要ですが、それからですね」
ポンタス・ハーグランドさん/スウェーデン/「マイクロソフト」勤務

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「社会には、生きるために働かなきゃならない人と、働くことが面白いから生きている人、2つの種類の人がいます。私は、仕事をするのが面白いから、そのために働いているんです」
トーマス・フロストさん/デンマーク/ウェブデザイン会社勤務