統計機構を
分散型から中央集権型へ

 そうした中で、同会合において委員の1人である川崎茂日本大学経済学部特任教授が当日配布資料として提示した「点検検証部会の審議取りまとめにおける視点」が、控えめな表現ながらも良識的な内容であり、今回の会合における唯一の救いといってもいいかもしれない(川崎委員は元総務省統計局長であり、在任中に国連の統計委員会で議長を務めた経験も持ち、その才能とバンラス感覚には定評があった人物。筆者が統計局在籍中は局総務課長であった)。

 その中に、課題・対策等の整理のための視点が6つ挙げられており、このうち「(6)品質を確保するために必要な業務体制を整備する。」では「統計の品質改善は、精神論だけでは実現できない。高い専門知識を有する人材、組織体制、適切な運営・管理が必要である。」とし、「(7)ガバナンスの確立」では「トップマネジメントが責任を持って品質改善を持って取り組むこととし、その取組を可能な限り可視化する。」としている。

 これらは統計機構・組織のあり方に関する事項であるが、分散型から中央集権型への移行を提言しているとも取れるものである。

 そしてこの統計機構・組織のあり方を分散型から中央集権型へ移行するという話、実は“あり得る選択肢”として検討が進められているようなのである。

 不正統計問題を巡る野党の体たらくについては冒頭で述べたとおりであるが、一方の与党はどうしていたのかといえば、野党の空回りに高みの見物を決め込んでいたのではなく、空っぽの重箱の隅を突くような野党の質疑を尻目に、着々と統計改革の議論を進めていたのであった。

統計制度が
大きく変わる可能性

 統計改革については、自民党の行政改革推進本部の下に設置された統計改革・EBPM推進検討チームにおいて検討が進められてきており、第4回会合において、筆者も「不適切統計調査再発防止のための統計制度等改革の方向性」と題して講演を行った。

 その内容は拙稿『勤労統計不正問題はなぜ起きた?組織と人材の厄介な「病巣」』『官庁統計の相次ぐ信頼失墜に「統計庁」の新設は有効か』において示したものと基本的な方向性は同じであるのでそちらをご参照いただき、本稿においては割愛させていただくが、講演に先立ち、自民党行政改革推進本部本部長の塩崎恭久衆院議員が冒頭発言で重要な事項を述べている。

 その概要は次のとおりである。

 まず、政府統計はEBPMのベースになるものでもあるとの認識の下、政府統計のガバナンスの総点検が必要であるところ、政府全体の統計についてこれを行うべきであるとした。また、わが国では統計が軽く扱われてきたのではないかとも発言している(この発言を与党の行革本部長がした意味は大きい)。