最近、外交部の第一次官に日本通のエースといわれる趙世暎(チョウ・セヨン)氏が任命された。通常であれば、これは文在寅大統領が日韓関係を立て直そうとした人事として評価すべきである。しかし、文大統領の対日認識では日韓関係修復の意図は感じられない。疑り深い見方かもしれないが、自分は我が道を行くので、日本が勝手なことをしないよう、日本をコントロールしろという人事としか思えない。

 日本が日韓首脳会談に応じないだろうという見通しは韓国でも報じられており、G20に参加する主要国の中で、ホストである安倍総理と会談しない唯一の首脳になるのではないかとの懸念が高まっている。そうした対応をとる安倍総理に対する批判もあるが、それ以上にここまで日韓関係を悪化させた文大統領に対する批判が高まっている。

 それと合わせ、韓国の外交が各国から疎外され、文在寅大統領の外交が無能なのではないか、外交部が今の長官の下で機能していないのではないかという現実にも注目が集まっている。韓国の大統領府も国内の外交批判に神経質になっている。

トランプ大統領に訪韓を懇願したことを暴露され怒る文大統領

 トランプ大統領はG20後に韓国を訪問することになったが、そこに至る経緯が韓国では大騒動になっている。

 在米大使館の外交官が、米韓首脳の電話会談の内容を高校の先輩である野党議員に漏らしたのだ。これを受け、姜孝祥(カン・ヒョウサン)議員は9日記者会見し、文大統領が5月7日の電話会談で、トランプ大統領に5月の訪日後に「少しの間でも韓国を訪問してほしい」と要請したことを公表した。

 これに対し大統領府は一旦「事実と異なる」と否定して「無責任な主張に姜氏は責任を負うべきだ」と非難。外交部と与党は「韓米関係の危機をもたらした」として姜議員の辞職を求め刑事告発した。また、当の外交官は懲戒免職になっている。政権内の混乱が読み取れ、事実をむしろ政権側が暴露しているようなものである。

 いずれにせよ、「大統領の訪韓おねだり」が重大な外交機密に該当するとも思えないが、大統領の面目が失われたということであり、これが大問題に発展するのが文在寅外交の置かれた現状である。