異日常についての話もまた興味深いのだが、パネルディスカッションの内容については後日アデランスのニュースレターで詳しく紹介されるそうなので、説明の機会はそちらに譲りたい。

 女性がメークすることは一般的だが、男性のメークは稀(まれ)である。しかし男性の若い世代では肌のケアなど美容に、上の世代と比較して高い関心を寄せる人が徐々に増えてきており、これがそのまま推進されれば、女性がエクステをつけるような感覚で男性がウィッグを装着する世の中が来るかもしれず、現時点では絵空事に思えるが、その日が到来したらきっと愉快であろう。

高級弁当を目の前に
控室で気配を殺す

 さて、パネルディスカッションを無事終えて、諸方面にご挨拶すると一段落となった。ありがたいことにお弁当を用意してくれているとのことで控室に案内され、あとはこれをいただいて現場をお暇するのみである。

 用意された弁当は和食に疎い筆者でも知っている有名どころの幕の内弁当で、和食好きの妻にこれを食べさせたく思った。しかし振る舞われたものを食べないのは失礼である。

 そこで筆者は弁当を開き、たまに部屋にやってくる人に不審がられないようにひと品ふた品ゆっくりと手をつけ、弁当を食っているフリをしてしばらく時間を過ごした。早食いの人が一食終えるくらいの時間が過ぎたであろう頃合いを見計らって、万引きするようなテンションでまだ沢山残っている弁当を手早く鞄にしまい、控室を出て挨拶をして辞した。

 妻は「そんなことする必要はなかった」と言いつつ、舌鼓を打って弁当を平らげていた。幸いである。