筋肉をつければやせる?

 筋肉をつければやせる、ということは、30年以上前から言われています。理論的には、筋肉をつけることで基礎代謝が上がり、何もしていなくても脂肪を燃やす体になれるというものです。

 トレーニング雑誌などではもはや「常識」的に語られる話ですが、私はこの理論はうのみにしないほうがよいと思っています。なぜなら、理論はともかく、実際に筋肉をつけてもやせないのを長年この目で見てきましたし、私自身も身を持って痛感したからです。

 インストラクターとして駆け出しの時代、やせたいなら筋肉をつければいいと先輩から教えられ、ボディビルジムで週に3、4日、約2時間の筋トレをしましたが、女子プロレスラーのようにむっちりした感じで、ウエストもむしろ太くなりました。いつか細くなると信じて続けましたが、1年以上たっても、努力は報われませんでした。

 そして長年の指導経験をふまえ、私自身の結論としては、筋肉をつけることと脂肪を落とすことは、別々のことと考えるようになりました。

 ボディビルダーの知り合いがいるのですが、彼は「僕、冬はただのデブですから」と自虐的に言い、実際に食事制限をしていないときの体型はプロレスラーのようです。

 年間を通してトレーニングに励み、筋肉がついているにもかかわらず、脂肪がのっている時期があるということです。コンテスト時の脂肪のないキレキレの体は直前の食事制限によるものと考えるのが妥当と思います。

 お笑いコンビ「オードリー」の春日俊彰さんはマッチョな体で知られていますが、彼のように、つねに脂肪が少ない体つきをしている人は、高たんぱく質、低脂肪の食事で、普段からかなり気を使っているのだと思います。

 筋肉をつけるのか、脂肪を落とすのか、目的によって適切なアプローチをとるようにしてください。