・お腹は気になるが、時間やお金をかけたくない
・運動はしているが、お腹の悩みを解決できない
・お腹を凹ませて、人生を変えたい
 そんな方のために、好きなものを食べても運動しなくてもやせて、腰痛、猫背などの不調も改善する「合理的な方法」をお伝えしていきます。ビジネスと同じで、まずお腹が出る原因を探り、目標を設定すれば、とるべき手段が明確になり、おのずと結果はついてくる、そんな方法です。

運動してもやせない理由

脂肪を落とすには運動がいい?

運動してもやせない理由植森美緒(うえもり・みお)
1965年生まれ。健康運動指導士。ダイエットに失敗した10年間の経験を生かし、リバウンドしない方法を提唱。自らもそれを実践し、最大60kgから14kg減量した体型を維持している。スポーツクラブ、カルチャースクール、専門学校、整形外科、自治体、健康保険組合、企業、女性誌など多彩なステージで活動を重ねている。実践のしやすさと続けやすさをモットーにしたセミナーは、その場で効果を実感できる点が参加者からも好評。著書に、『30秒ドローイン!腹を凹ます最強メソッド』監修:石井直方(高橋書店)、『腹だけ痩せる技術』(メディアファクトリー新書)、『世界一簡単な「くびれ」の作り方』(PHP文庫)など多数。

 運動で脂肪を落とすには時間がかかります。なぜなのか、その理由をお話していきます。

 人の体には脂肪のつきやすい箇所と、つきにくい箇所があり、まんべんなく太るわけではありません。

 よく使う手首や足首、そして肩や背中のように、重力などの負荷がかかり続ける箇所から太ることはなく、お腹やお尻、内もものように、意識しないとあまり使わずにすんでしまう箇所ほど形は崩れやすく、脂肪もたまります。

 ボディラインが局所的に崩れて脂肪がつくのは筋肉の衰えが原因なのに対し、全身が太っている場合は、病気や薬の副作用など特殊な例を除き、基本的には食べ過ぎていることが原因です。

 ですから、食べ過ぎている人が全身やせを考えるなら、食生活を見直すのが最適なアプローチと言えます。食生活を変えたくない場合には、運動により消費するエネルギーを増やすというアプローチができますが、食事で減らすのとくらべると、運動で消費するエネルギーは思いのほか大きくないため、どうしても時間は要します。

「メッツ」という値を使うと、運動で消費するエネルギーを簡単に算出できます。参考にしてみてください。(※実際に消費するエネルギーには個人差があります)メッツは安静時を1として、生活活動や運動のエネルギー代謝量が何倍かを示す値です。たとえば普通に歩くと3メッツ、早歩きは4〜5メッツ、時速8kmで走る場合で8メッツです。

 生活活動や運動で消費するエネルギーを算出するには、このメッツに自分の体重をかけます。たとえば、体重70kgの人が、5メッツの早歩きを1時間行った場合、消費するエネルギーは70×5=350キロカロリーです(安静時代謝を含む)。1時間の早歩きはけっこう大変なので、半分の30分とすると、175キロカロリーです。これは、甘い炭酸飲料を飲んでいる人なら、無糖のお茶にすれば30分の早歩きをしなくてすんでしまうエネルギーです。

 このように食事で摂取エネルギーをおさえるのは、運動のように時間はかからないという意味で、全身やせなら運動するよりも食事のほうが手っ取り早いのです。