「キャリア VS 行政」
携帯の契約ルール改正で何が起きる?
携帯電話業界ではここのところ、「キャリア VS 行政」の図式が鮮明化しているように感じられます。この秋には、政府の方針に基づいた新しい携帯電話料金のルールが定められます。何が変わるのか。それで私たちユーザーの利便性は本当に高まるのでしょうか。これから起きるであろうことを簡単にまとめてみましょう。
ことの発端は、2015年に閣僚が「日本の携帯料金は高すぎる」「携帯電話料金の家計負担軽減が大きな課題だ」と発言し、首相が総務省に料金の引き下げの検討を指示したことでした。
その検討の結果、何が起きたかといえば、実は「0円端末の販売禁止」です。
なぜそんなことになったのか、経緯をまとめると、こういうことです。最初は政府が、携帯電話料金の引き下げを検討するよう、通信キャリアに指導したようです。日本の行政指導というのは、法律ではなくあくまで指導なのですが、要するにお上が各社にまず「安いプランをつくりなさい」という、事実上の指示を出したのです。
それでドコモなどが安いプランをつくったのですが、普通の消費者が使うようなある程度の通信量が保証されるプランは、相変わらず安くはない。そこで政府は次に「競争が必要だ」と考えたわけです。
なぜ競争が起きないかというと、それまでの「0円端末」(実質0円端末)と呼ばれる商習慣によって、事実上、2年ないしは4年間の契約で縛られたユーザーが、携帯キャリアを自由に乗りかえることができないから。だからまず、この「0円端末」をなくそうというところから業界ルールを変え始めたのです。
ところがその結果は、政府にとっては芳しくありませんでした。0円端末がなくなったことで、ユーザーが最初に契約するときの負担は逆に増えることになります。また、0円端末がなくなっても、ユーザーは2年間同じキャリアを使わないと違約金が発生するので、キャリアの乗り換えも相変わらずやりにくかったのです。一方で、通信キャリアが負担してきた端末補助金がなくなったぶん、キャリアの利益は増えてしまいました。
そうした経緯があって、この秋から携帯電話料金の新ルールが導入されることになった。これが最新の状況です。