ただしその効果には、疑問の声も出ている。今回ほど厳重ではないが、08年の時点ですでに市内への乗り入れ車両を制限するなど、ロンドンは低公害に向けた条例を施行してきた。しかし10年後の18年に行われた追跡調査では、市内の子供の喘ぜん息そくなど呼吸器関連の疾病率にはほとんど変化がないという。空気の流入そのものは規制できないため、たとえば日本が中国のPM2.5の被害を受けるのと同様に、ヨーロッパ大陸や他のイギリスの都市から空気が流入するのを防ぐとなったら、大型ドームで都市をカバーするなど、非現実的な対策が必要になるだろう。

 しかし、ロンドン・インペリアル大学の研究室は「だからこそのULEZの実施であり、その効果については今後詳細な調査が行われる」としている。

市の中心部へのクルマ乗り入れは有料
今後の世界のスタンダードに?

 いずれにせよ、ロンドンの試みは今後世界中に広がると考えられている。米国ではニューヨークのデブラシオ市長、クオモ知事がともに同様のマンハッタン中心部へのクルマの乗り入れに対する課税制度を検討中だ。まだ詳細は発表されていないが、まずはロンドンのように渋滞解消策として乗り入れに課税する、いずれは低公害車限定での乗り入れ解禁、などのステップを踏むと思われる。

 市の中心部へのクルマ乗り入れは有料、というのが今後の世界のスタンダードになるのかもしれない。

(報告/土方細秩子、まとめ/CAR and DRIVER編集部)