高価な水に散財する妻
それを容認する夫
ちなみに世間的にイメージが芳しくない“マルチ商法”だが、改まった言葉では“連鎖販売取引”といい、法的にはなんの問題もない「まっとうな商売」である。
法的にダメなのは“ねずみ講”(改まった言葉で“無限連鎖講”)の方で、両者は似て非なるものである。ピラミッドの上の人ほどもうかる仕組みはどちらも同じであるが、マルチ商法は扱っているものが“商品”であるのに対して、ねずみ講は“金品”である。なお、扱っているものが商品でも、価値と価格が格段にかけ離れている(不自然に値が高い)場合は「ねずみ講」扱いとなる。
某社商品を買いまくっている妻を、「マルチ商法は犯罪ではないからOK」と自分を納得させ、容認しているのはBさん(42歳男性)である。一回り年下の、それも美人で評判の女性を妻に迎え、周囲から大層うらやましがられた。
Bさんも「身に余る僥倖(ぎょうこう)」として自らの強運に感謝し、一緒になってくれた妻に感謝し、「妻のやりたいことはなんでも応援しよう」と思った。そう決意した矢先に、妻が突然「ネットワークビジネスをやる」と言い出して、部屋は高価なありがたい水や高価で美容に非常によろしい化粧品の箱で山積みになった。
Bさんは経済的にそれなりに余裕があったので金銭面で妻のサポートをしたが、さすがに在庫を抱え過ぎではないかと心配になり、妻に苦言を呈した。妻は怒ってケンカになった。
「『やりたかったらやってもいいから、ビジネスとしてやるんだったらしっかり計画的にやらないと』と伝えました。妻は説教をされてつまらなさそうにしていましたが、一応僕の言い分は伝わったみたいで、それからは無理な量の在庫を抱えないようになりました。