疎遠な人からのお誘いは
ほぼ100%疑ってかかるべし
「今度の木曜日、遅くなるよ」
夫の秀紀さん(仮名・45歳)が律儀に申告してきた。遅くなるのはいつものことだし、來未さん(仮名・43歳)も申告を求めたりはしない。そこをあえて言ってくるのはほぼ100%「どうしたの」と聞いてほしいときだ。
尋ねてみると、大学時代の先輩から「久々に会って話がしたい」と電話があったという。
「ふーん、その人って仲良かったの」
「いや、全然。っていうか、お互い、たぶんあんまり好きじゃなくて、ほとんど話したことないんだけどね。懐かしいんだって」
「ほう」
「なんかへんだよね」
「うん。私の経験上、長く会っていなかった人、あるいは、あまり仲がよくなかった人から連絡が来る理由は2つだけ。“勧誘”か“借金の申し込み”だよね。勧誘は、マルチ商法、保険、選挙期間中ならひいきの候補や政党をよろしくみたいな。新興宗教系の信者は結構熱く語ってくるよねー」
來未さんの脳裏に、ある冬の、不愉快な記憶がよみがえってきた。