世界的に多大な影響を与え、数千年に渡って今なお読み継がれている古典的名著たち。そこには、現代の悩みや疑問にも通ずる、普遍的な答えが記されています。しかし、そのような本はとんでもなく難解で、一冊しっかりと理解するには何年もかかるものもあります。本連載では『読破できない難解な本がわかる本』(富増章成著)から、それらの難解な名著のエッセンスを極めてわかりやすくお伝えしていきます。(イラスト:大野文彰)

資本主義は商品の塊でできている?

 18世紀に、イギリスで産業革命が起こり、19世紀にはこれがヨーロッパへと拡大していきました。生産力は急激に上昇しましたが、19世紀の後半になると、資本家と労働者の格差の拡大が目立つようになりました。そこで、マルクスは、資本主義社会を分析することで、これらの問題の解決法を見つけようとしたのです。『資本論』は、資本主義の秘密を次々と暴いていく膨大なページ数の書です。

 商品には、それが役立つ価値(使用価値)と交換の値打ち(交換価値)がありますが、交換される物に共通するのは「労働」です。つまり、どれだけの労働が費やされたかでその物の価値が決定します(労働価値説)。さらに、様々な商品が交換されていく中で、金(ゴールド)が共通する商品となりました。これが貨幣です。

 ところが、商品は貨幣によって交換されますが、「とにかくお金そのものを増やしたい」と思う人間が現れます。

 マルクスによると、労働者の労働力もまた商品(労働力の商品化)であり、労働力と交換されるものが「賃金」ということになります。この賃金は労働者が働けるように最低限の衣食住の費用が支払われます。つまり、私たちの1ヵ月の給料とは、次の1ヵ月を働くために生きつなぐだけの生活費ということになります(だから、働き続けなければならない?)。

 労働者が1日生活するのに必要な労働時間は「必要労働時間」と呼ばれますが、これは、労働者が生きていくためのものなので、資本家は儲かりません。そこで、資本家は労働者を多めに働かせて「剰余価値」を生み出し「搾取」をします。つまり、労働力という商品だけが余計に価値を生み出すという特殊性をもっているから、資本主義が成立するということになります。資本主義社会では、資本家にならないと豊かにはなれないのです。