21世紀に入ってからというもの、米国に次ぐ数のノーベル賞受賞者を輩出している日本だが、実は科学技術立国の足元は驚くほど揺らいでいる。近年の科学技術政策の実態を知る関係者ほど、「このままではもうノーベル賞など期待できない」と嘆く。どういうことか。その真相を追った。

「週刊ダイヤモンド」2018年12月8日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

日本の研究開発投資の8割は企業

 先端の研究開発に携わっているのは、大学などの研究機関ではない。日本の研究開発投資の8割は企業が占めるが、その実態も決して明るくない。

 R&D(研究開発)支出額が高い企業の世界ランキングや国別ランキング、バブルチャートなどを基に、技術開発競争というよりビジネスモデル競争で世界の後塵を拝している日本企業の危機を浮き彫りにする。