相手の人格になりきることで、見えてくるものがある

 おそらく、みなさんも、この「人格を変える」「相手の人格になりきる」ということは、無意識に自然にやっているのではないでしょうか?

 たとえば、営業職の人ならば、相手の立場になって考えてみることで、交渉の落とし所が分かったりすることがあるはずです。

 また、会社で部長の人でも、家に帰ればお父さんであり、近所の町内会では〇〇さんの旦那さんに、親戚の子どもの前ではおじさんになるなど、その場に応じて人格はいくつも変わるはずです。

 私は、新卒でミスミに入社して以来、一貫して新規事業に携わってきましたので、会社に所属しているというよりも、立ち上げた事業に参画している、という感じをずっと強く持っていました。

 だから、「一貫した会社の人格」というよりは、事業ごと、つまり「仕事ごとに人格が入れ替わる」ということを人よりも強く意識していたからこうなったのかもしれません。

 こんなに極端なケースの人はあまりいないかもしれませんが、「仕事のプロ」として、固定すべきは「仕事」です。

 「会社のプロ」から「仕事のプロ」に意識をチェンジするといいながら、「会社」が固定されてしまったり、「役職」が固定されてしまったりすることが多いと思います。

 ぜひ、努めて「相手の人格になりきる」ということを意識してやってみてください。

 【11歩目】 「仕事のプロ」は、その仕事をやり遂げるための、当事者意識が大事

守屋 実(もりや・みのる)
1969年生まれ。明治学院大学卒。1992年にミスミ(現ミスミグループ本社)に入社後、新市場開発室で新規事業の開発に従事。メディカル、フード、オフィスの3分野への参入を提案後、自らは、メディカル事業の立上げに従事。2002年に新規事業の専門会社、エムアウトをミスミ創業オーナーの田口弘氏とともに創業、複数の事業の立上げおよび売却を実施。2010年に守屋実事務所を設立。設立前および設立間もないベンチャーを主な対象に、新規事業創出の専門家として活動。自ら投資を実行、役員に就任、事業責任を負うスタイルを基本とする。2018年4月に介護業界に特化したマッチングプラットホームのブティックスを、5月に印刷・物流・広告のシェアリングプラットホームのラクスルを2社連続で上場に導く。