日本に122個のメダルもたらした「競技用車いす」の知られざる匠たち
世界中から注文が舞い込む日本の競技用車いす。2018年11月18日に開催された大分国際車いすマラソンでも、リオパラリンピックの金メダリスト、マルセル・フグ選手が使用(写真提供:オーエックスエンジニアリング)

パラリンピック発展の陰の功労者
競技用車いすの世界的メーカーとは

 様々な障害を抱えた人たちがスポーツに打ち込み、力を競い合う姿を見て勇気をもらう人は多い。2020年に開かれるパラリンピック東京大会でも22競技が実施され、バドミントンも正式競技となった。

 テニスの国枝慎吾や陸上の佐藤友祈など、日本にも世界的なトップアスリートがいる。彼らを支えているのが競技用車いすである。オーエックスエンジニアリング(以下、OX)グループは、競技用車いすの世界的メーカーである。国枝・佐藤両選手も同社のサポート選手であり、車いすの提供など支援を受けている。

 OXグループは陸上(レース)、テニス、バスケット用の車いすを開発製造しており、1996年のアトランタ大会以降、計122個のメダル獲得に貢献している。国内シェアは同社推定でレース用が約60%、テニス用が約70%、バスケット用が10%程度だ。

 国内だけでなく、海外のトップアスリートも同社のサポート選手だ。昨年の大分国際車いすマラソンで優勝し、リオパラリンピックで金メダルを獲得しているスイスのマルセル・フグ、同じく銀・銅メダルを獲得しているフランスのピエール・フェアバンクなどにも提供している。

 同社社長の石井勝之(38歳)はこう語る。

「トップアスリートたちは勝てない車いすには当然ながら乗りたくありません。つまり、パラリンピックなど国際大会での順位は、当社の製品の実力を測る上で最も明確な指標なのです。私たちは競技用で技術を磨き、それを日常用に転用することで、使いやすい車いす開発を目指しています」

 競技用車いすは選手各人に合せた完全オーダーメイドで、身体状況やプレースタイルにより、フレームからタイヤ、各種パーツ類などを組み合わせ、ミリ単位で微調整する。もちろん、軽さと剛性を同時に求められるため、同社は材料にこだわり、アルミの中でも最高クラスの強度を持ち、溶接しても溶接部の強度が母材強度に近いところまで回復する素材を利用。加工法も工夫を凝らしている。