一部創業家筋vs外国人経営陣――。
国内製薬トップ、武田薬品工業の「6月の風物詩」になりつつある争いが、今年も繰り広げられた。
27日に横浜市で開かれた武田薬品の定時株主総会。昨年の総会はアイルランドのバイオ医薬品大手シャイアー買収を表明した直後であり、買収反対派の一部創業家筋や武田薬品OBでつくるグループ、「武田薬品の将来を考える会」(通称「考える会」)が「大型買収について株主総会の事前決議を義務付け」を株主提案し、紛糾した。
今年は約6兆円にも及ぶ巨額買収が完了してから初の総会で、考える会が「クローバック条項」を定款へ導入することを株主提案。考える会代表代行で創業家筋の武田和久さんが「グローバル企業を標榜するならば、グローバルの論理をもって制度構築すべきだ」と意見表明すると、株主から大きな拍手が沸き起こった。
結果的に今回も株主提案は否決されたが、議決権行使助言会社の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)、米グラスルイスが共に賛成推奨していたこともあり、注目を集めた。