世間の注目がクライスラーやGMに集まる中、影の薄い存在となっていたフォードがこの5月、久しぶりに(いい意味で)スポットライトを浴びた。5月1日に発表された4月の米国新車販売実績でトヨタ自動車を抜き、ほぼ1年ぶりに2位の座に返り咲いたのだ。実は2009年に入りシェアを伸ばしているのは、フォードだけ。同社の躍進は果たして本物なのか、検証した。(ジャーナリスト 桃田健史)

フォードのディーラーでは最近、ピックアップトラックやSUVより、「フォーカス」などの小型乗用車が目立つ。

 このところ北米自動車市場について世界各国では、クライスラーの連邦破産法第11条の適用申請(4月30日発表)、GM再建計画(4月27日発表)ばかりが報道されている。

 そうしたなか、5月1日、各メーカーの2009年4月のアメリカ国内販売実績が発表された。そこで目立ったのは、なんとフォードの躍進だった。トヨタの12万6540台を上回る12万9476台を販売し、約1年ぶりに2位の座に返り咲いたのだ。

 ちなみに、メーカー別のマーケットシェアで見ると、2009年4月単月では以下のようになった。

1位  GM(20.9%)
2位  フォード(15.8%)
3位  トヨタ(15.4%)
4位  ホンダ(12.3%)
5位  クライスラー(9.4%)
6位  日産(5.8%)
7位  ヒュンダイ(4.1%)
8位  フォルクスワーゲン(3.5%)
9位  KIA(3.1%)
10位 マツダ(2.0%)
11位 BMW(1.9%)
同11位 スバル(1.9%)
12位 メルセデスベンツ(1.8%)
13位 アウディ(0.9%)
14位 三菱(0.5%)
15位 Mini(0.4 %)
16位 スズキ(0.3%)
17位 ジャガー(0.2%)
同17位 ポルシェ(0.2%)
同17位 ランドローバー(0.2%)
18位 サーブ(0.1%)。

 上位6社の過去1年間(月別)のマーケットシェア変動を見ると、2009年に入り、フォードだけが上昇基調にあることが分かった。