◇女性はなぜ共感してもらいたがるのか?

 男性なら、こんな疑問をもつかもしれない。女性はなぜ、「転びそうになって転ばなかった話」をし、共感を求めるのか。じつは、男性脳からすると情報量ゼロの話が、女性脳にとっては情報価値の宝庫なのだ。

「怖い」「つらい」といったストレスを伴う感情が起こるとき、女性脳は、ストレス信号が男性脳の何十倍も強く働き、何百倍も長く残る。ただし、共感してもらうと、この余剰な信号が沈静化していく。安心感を得て、自分の感情を客観視できるためだ。

 この余剰な信号は、危険な事態を記憶して、二度と同じ状況に自分を追い込まないための防衛手段である。哺乳類のメスにとって、自分や自分の子どもを守るためには、「自己保全」が第一の条件となる。そのため、脳が強く反応した体験を思い返すことで、今後に活かせる知恵やセンスを創出していくのである。

 したがって、女性の部下をもつ男性上司は、女性のこうした感情の吐露には、共感する必要がある。余剰な感情が長引かない男性脳には、共感は難しいかもしれない。しかし、共感が女性の仕事への集中力やモチベーションを高めることにつながっていく。

◇右左脳連携の違いが、脳の性差を生む

 脳の性差は生まれたときから存在する。それは、右脳と左脳を連携させる神経線維の束(脳梁)が、女性脳のほうが太いことに起因する。しかも、女性脳のほうが連携の頻度と密度が高い。右脳は「感じる領域」、左脳は「顕在意識と直結して言葉を紡ぐ領域」である。このため、右脳と左脳の連携がよい女性脳は、感じたことが、次々に言葉になって意識に上がってくる。これが、女たちが察する天才であり、臨機応変に行動できる理由だ。

 もちろん、男性にも女性にも、その性に生まれたからといってできないことは何一つない。職能のような恣意的な領域で、「女性だから」という理由で劣っていることなど、何もない。

 ただし、脳には性差がないと考えると、男女は互いに同じ入力に対し、同じ出力を期待して、すれ違いに悶々としてしまう。脳には明らかに性差があると認めたほうが、日々の暮らしはずっと楽になる。