「ひょっとして、オレって会社の女性に嫌われてる…?」

 最近、中田堅司課長の心にそんな疑惑が芽生えている。オヤジギャクをかましても、にこりともしないA子さん。談話コーナーに行くと、そそくさと立ち去るB子さんにC子さん。お土産の温泉まんじゅうを自分にだけ配ってくれないD子さん――。「ミスター・フェミニスト」との呼び声高い、同期の笛見仁課長に相談したところ、こんな答えが返ってきた。

 「もしかしておまえ、女性に対してきちんとフォローをしていないんじゃないか? 業績をあげてもほめない、とか、雑用を頼みっぱなしでお礼を言わない、とか。まあ、お礼さえ言えば雑用させていいってもんじゃないけど」

 「上司が部下に仕事を頼むのは当たり前だろ。子どもじゃあるまいし、いちいちお礼を言ったりほめたりするなんて変だよ。第一、男はそんなことしなくても誰も気を悪くしないぞ」

 「男と一緒くたにするのが間違いなんだよ。ちゃんと感謝の気持ちを示さないと、女性っていうのはどんどんストレスをためちゃう生き物なんだ。しかも、彼女たちのネットワーク力はすごいからな。上司の悪評なんてあっという間に広まるぞ」

 そういえば家でも、心なしか妻と娘の視線が冷たい気がする。さっぱり理由がわからなかったが、ひょっとすると同じようなことが原因かもしれない……。

「笑顔とほめ言葉があれば
頑張れる!」

 相手から認められないとイライラしたり、不安になったり――そんな女性は少なくない。たとえば、妻や恋人のこんな言動に心当たりはないだろうか。

■TVを観ながらの夕食。黙って口を動かしていたら、「『ありがとう』の一言くらいないの?!」と突然キレた。

■ヘアスタイルが変わったことに気付かずにいたら、機嫌が悪くなった。

■ぼんやり仕事のことを考えていたら、急に「何を考えているの。もう私のこと好きじゃないの?」などと言いだした。

■誕生日や結婚記念日にプレゼントを用意しなかったことを、いつまでもねちこく責める。

 このように、女性は言葉や態度、あるいはモノによって、パートナーの愛情を確かめようとする。同じような傾向は職場でも見られる。働く女性たちが求めるのは、「ほめ言葉」という名の愛情だ。

 ただし、こうした気持ちは、表面からはなかなかわかりづらい。職場は公の場だし、上下関係もある。ストレートに「ちゃんとほめてくださいよ」などと口にする人はいないだろう。しかし、女性のモチベーションを支えているのは、多くの場合、ねぎらいや感謝の言葉なのである。